説教ノート(ある信徒の覚え書きより)


聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。

97年11月2日

「その土台はキリスト」

蔦田 直毅 牧師

コリント人への手紙第一・三章全体

中心聖句:

 「与えられた神の恵みによって、私は賢い建築家の用に、土台を据えました。そして、ほかの人がその上に家を建てています。しかし、どのように建てるかについてはそれぞれが注意しなければなりません。

 というのは、だれも、すでに据えられている土台のほかに、ほかの者を据えることはできないからです。その土台とはイエス・キリストです。」

(10・11節)

教訓:信仰の底流にある不変の土台を確認する。


導入

今週は、コリント人への手紙の中の一節から、変化の中において私たちが確認しなければならない、信仰の土台についてメッセージを取り次がせていただきたいと思います。

冒頭の箇所で、パウロは信仰生活を家の建築になぞらえ、いかにその土台が重要であるかについて説いています。今日は、私たちの信仰の土台について、3つの面から学んでみたいと思っています。


1)すべてのクリスチャンは、キリストという土台の上に建て上げられる。

 コリントのような初代教会の直面する問題の一つに、教会内の分派や、分裂という問題がありました。この問題に対してパウロは、分裂している者もすべてキリストによって救われているという共通の土台を持っていることを強調し、分派などが良くないことであると説いています。

 実際私たちクリスチャンは、皆キリストの十字架によってあがなわれた者で、兄弟姉妹の関係にあり、もとは一つです。様々な活動において、人間の性として分裂心や党派心が生じることがありますが、これはクリスチャンが皆同じ土台の上に立っていることを考えれば、間違った世的な態度であることが分かるでしょう。

 教会の活動は、多くの人の奉仕により行われます。その活動によって植物が生長するように、教会も成長し、発展していきます。しかし、植物を本当に育てているのは、水をやっている私たちではなく、すべてを創造された神なのです。この意味で私たちは、9節でパウロが言うところの、「神の協力者(coworker)」であると言えます。私たちは、共通の土台に立って、神が為されようとしていることの一部をそれぞれが担っていることを、しっかりと理解しましょう。


2)土台の上に何をどの様に建てるかについては、各自が注意する必要がある。

 前述のとおり、私たちはキリストの十字架によって救われたという共通の土台を持っています。多くの人は救われたその時に感動し、涙するような気持ちになる事もあるでしょう。しかし人間のそのような気持ちは、残念ながら長続きするものではありません。問題はその後、どう成長するかなのです。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、本当に大きな可能性を持っています。しかし、ミルクをあげなければ、その命は絶えてしまいます。私たちの信仰もこのようなもので、生まれっぱなしではいけないのです。せっかく生まれた信仰は、聖書の言葉という糧、あるいは集会の出席、毎日の祈り、信仰の証などを通じて成長し、やがて大人になっていくのです。

 パウロは「この過程であることに気を付けよ」と言っています。それは土台に何をどの様に建てるかに、各自が責任を持て、ということです。

 12節では、キリストという土台の上に、各人がそれぞれ違う材料で家を建てるたとえが用いられています。ここはよく、「3匹の子ブタ」みたいな箇所であるといわれています。ある者は、木や草やわらで家を建て、ある者は金・銀・宝石で家を建てます。ここで言うところの金・銀・宝石というのは、健全な教理的指導のもとに育つ信仰を指しており、何もキンキラキンの家を建てると言うことではありません。これに対し、木や草やわらの家というのは、間違った教えにもとづいて出来上がってしまった信仰を指します。

出来上がった信仰は、次ぎに述べますように、神による試験を受けることになります。ここで、その作り方が問われることになるのです。


3)土台の上に建てたものは神によって試される

 私たちが土台に建て上げた家は、神によってテストを受けます(13節)。パウロの言葉を借りれば、神は火によってその出来を確かめられます。この火を通されると言うことによって、我々の信仰の実質が試されるのです。

 これはある意味では、終末の審判であると捉えることが出来ますが、別の意味では、日々継続的に行われるテストについても語っているようです。といいますのも、ある人は審判の前にさえしっかりとしておけばよいと考えたりするのですが、この審判がいつ来るか分からないからです。従って私たちは、いつ神の最終テストがあっても良いように常に最善の準備をしておくことが必要になります。


今週一週新しい歩みを始める前に、今一度私たちの信仰の土台がキリストにあること、その土台に責任を持って信仰を建て上げること、そしていつテストがあっても良いように準備しておくことについて、よく各自自分を吟味し、新たな出発を切らせていただきましょう。


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