説教ノート(ある信徒の覚え書きより)


聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。

97年11月23日

「王国は確立するのか?」

井川 正一郎 牧師

第二歴代誌 17章1〜13節

中心聖句

「主はヨシャパテとともにおられた。彼がその先祖ダビデの最初の道に歩んで、バアルに求めず、

 その父の神に求め、その命令に従って歩み、イスラエルのしわざにならわなかったからである。

 そこで、主は、王国を彼の手によって確立された。ユダの人々は皆ヨシャパテに贈り物をささげた。彼には、富と誉れが豊かに与えられた。

 彼の心は主の道にいよいよ励み、彼はさらに、高き所とアシェラ像をユダから取り除いた。」3節〜6節

 教訓:主の恵みと我々の信仰の成長により、王国は確立する


導入

今年これまでに何回か「王国の確立」に関したメッセージを取り次いで参りましたが、今日はこのシリーズの最終回となります。これまでに、「王国を確立する」ために必要な中心的な条件として、罪を完全に取り除くことがあることをお話ししています「王国の確立」、「問題処理の真髄」−リンク参照)。今日のメッセージは、「王国は確立する」という内容です。

冒頭の箇所に登場するヨシャパテ王は、南のユダ王国第4の王であり歴代ユダ・イスラエル王の系譜−リンク参照)、35歳のときから25年間王国の統治を行いました。ヨシャパテ王の特徴は、統治開始直後から積極的な改革を始めたことです。まず、北のイスラエル王国に対しての防御を固め(17章1節)、次いで偶像礼拝の破棄と、神の教えの普及に務めました(17章6節以降)。その行動の基本にあったものは、彼の真実で深い信仰でした。この様な彼の行いに対し、「王国は彼により確立した(5節)」とまで語られる程になったのです。これほどの評価を受けたの者は、彼以外にはダビデとソロモンしかいません。

今日のメッセージでは、私たちにもこの様な王国の確立が出来るということを取り次がせていただきます。その王国は、ある方にとっては信仰であり、ある方にとっては職場、仕事、家庭、教会などであり、人それぞれ様々な局面で確立されるものです。ただし、王国の確立には今日お示しする条件があります。

その条件とは大きく分けて、
1)主の臨在・同行とご嘉納(5節)
2)人間側の真実な信仰とその実践・成長(16節)
の二つの要素があります。

1)のポイントは2)が私たちのレベルでクリヤーされると(神の御愛の故に)自動的に達成される条件ですので、今日は2番目のポイントについて取り上げたいと思います。


2番目のポイントはさらに二つの要素に分けられます。まず第一の要素は、

1)信仰の原点・最初のスピリットに立った信仰の道を歩むことです。

3節には「彼がその先祖ダビデの最初の道に歩んで、」と書かれています。ダビデの最初の道とは、ダビデが罪を犯す前の信仰状態を指します。ここでは、私たちが信仰に入ったときのフレッシュな姿勢・精神をいつまでも保つことが重要だと言っているのです。救われた最初の喜びをいつまでも持ち続けていくことが大切なのです。

ヨシャパテ王の前任であるアサ王は、最初良い王でした。その結果、35年間攻められることなく守られたのです。ところが治世の段階で、かなり混乱が起こりました。ヨシャパテ王も残念ながら最後にはおかしな状態になっていってしまいます。この様に最初は良い信仰を持っていても、時間とともにその新鮮な気持ちが薄れ、やがて堕落していくことが多いのです。こういう竜頭蛇尾のような人生を送らないように注意しましょう。


2)ヨシャパテの信仰の成長

 6節には、「彼の心は主の道にいよいよ励み、」とあります。この信仰に励むと言うことが、王国の確立における重要なポイントです。ヨシャパテはなぜ励むことが出来たのか、その秘訣を見てみましょう。

i)信仰は励むものであると知っていたから

 信仰と言うことを考えるとき何が大切かというと、救いや聖潔といった瞬時的な経験も重要ですが、その後の生活で継続的に成長していくことも非常に大切なことです。このことは、信仰を実際の生活の中で、具体的な形として現していくことであると言えましょう。さらに、その成長には聖言の裏付けが必要です。つまり聖書の言葉によって、日々養われ、信仰がより高度なものに代わっていく必要があるわけです。

ii)励む心が備わっていたから

 ヨシャパテの信仰について注目して頂きたいことに、「彼の心は主の道にいよいよ励み、」の中の「心」の問題があります。信仰の成長は、嫌々信仰生活をしていたのでは、全く期待出来ないものです。心から主を信頼する私たちの姿勢を神様は見ておられ、やがて神様は恵みを持ってその信仰に報われるのです。この恵みを知ることにより、我々はさらに励まされ、さらに信仰に励む力を得ます。ここにおいて、心の伴った地道な信仰が、成長の大きな秘訣であることを知ることが出来ましょう。

iii)自分自身の励みが周囲の人間や王国の確立に重要な影響を及ぼすことを知っていたから

 8節には、ヨシャパテの真摯な信仰の姿勢に、とりまく重臣たちも従い始めたという事が記されています。このことが、王国の確立を不動のものとしていきました。このように、私たちの一人一人の信仰の成長は必ず第三者にも良い影響を及ぼします。また、この反面もし信仰が失われますと、それに応じて実に容易に別の人に悪い影響を逆に及ぼしてしまうのです。

以上のことをまとめると、ポイントは「王国の確立」が、ヨシャパテという個人の「信仰の成長」によってもたらされたという事になります。今日、私たち一人一人がそれぞれの置かれた立場で、「王国を確立する」事が出来るという励ましを神様から頂きました。最後に実生活への適用についてまとめてみましょう。


生活への適用 

1.プラス1を目指す。

今までのことに加えて、さらに一歩成長につながることを始めましょう。

2.信仰の成果の味をしめる。

信仰の成長に伴う体験を通じて、神の恵みのすばらしさを体験しましょう。


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