説教ノート(ある信徒の覚え書きより)


聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。

97年12月21日

「最初の聖誕節」

井川 正一郎 牧師

ルカの福音書 2章8〜20節

中心聖句

「すると、主の使いが彼らの所に来て、主の栄光が回りを照らしたので、彼らはひどく恐れた。」9節

「御使いたちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼いたちは互いに話し合った。『さあ、ベツレヘムに行って、主が私たちに知らせて下さったこの出来事を見て来よう。』

そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼い葉おけに寝ておられるみどりごを捜し当てた。」

(15〜16節)

 教訓:最初のクリスマスの感動をいつまでも...


導入

今朝は、ルカによる福音書の羊飼いに関する記事から、クリスマスと私たちの関係を捉えさせていただきたいと思います。

牧者が若い頃、若者の間でゴスペルソングが流行し、そのクリスマスソングの一つに「世界で初めのクリスマス」と言う山之内ひでかず(?)作曲の曲がありました。私は最初この曲は若い人間が作曲したものと思っていました。ところが作者は、結核や高圧線に触れるという事故などで死線をさまようような苦労をしているある程度年のいった人間で、救われてクリスチャンとなった最初のクリスマスの感動をもとにこの曲を作曲したことが分かりました。今日はこの曲に書かれているような、世界で最初のクリスマスの感動を味わった羊飼いたちと、そしてそれと変わらない感動を味わった私たちの関係について、メッセージを取り次がせていただきたいと思います。

クリスマスの出来事を最初に見たものは、ヨセフにマリヤ、そしてここで書かれている羊飼いたちでした。神はなぜこの羊飼いたちに最初のクリスマスを祝うことを許されたのでしょうか?その理由は大きくいって4つ挙げることが出来ます。


1)彼らが御心にかなったものであったから

14節では、「平和が、御心にかなう人々にあるように」と言う賛美の歌が歌われています。この歌は、時代を超えて「御心にかなう者」に向けられていますが、「御心にかなう者」とは一体どの様な人を指すのでしょうか?これは、罪を悔い改め、主の導きに従い、主を心より愛し、待ち望む者のことを指します。羊飼いたちは、これらの条件を満たしていたので、初めてのクリスマスを祝うことが許されたのです。


2)彼らが普通の人たちであったから

 羊飼いたちは、王でもなければ重臣でもない、平凡で普通の人間でした。この様な人たちが、最初のクリスマスを祝うことが許されたのは、なぜでしょう?それは、どんな人でも神の訪問・福音がもたらされると言うことの象徴なのです。神は分け隔てなく、すべての人に祝福を与えようとされています。また、往々にして弱い人、普通の人、乏しい者に格別の愛情を注がれることがあります。羊飼いたちは、ごく普通の人でしたが、この様な愛された者たちだったのです。これは我々にとって大きな励みです。


3)彼らが他の人々に正しく伝えてくれる人々であったから

 15〜18節には、羊飼いたちはクリスマスについて知らされたことをヨセフとマリヤに伝えた事が記されています。つまり彼らは、最初のクリスマスの出来事を、正しく伝えるべき人に伝えることが出来たと言うことです。神はそのような羊飼いたちの資質を見抜かれて、彼らに御使いたちを送ったのです。


4)羊飼いらが救い主の到来に最も関心を持っていた者たちだったから

 羊飼いたちは、約束の救世主がいつ来ていただけるかと待ち望みつつ、日々仕事に励んでいる者でした。神はこういう人物にまず初めのクリスマスを知らされたのです。

 そこに、御使いたちの突然の知らせがあり、羊飼いたちが急いでベツレヘムへ向かいました。この「急いで」と言う言葉には、どんなことにも先んじて、何にもまして、と言う意味があります。ここで人はどの様な時に急ぐのかについて考えてみましょう。まずその人の求めが切なるものであり、必死である時です。次ぎに、その急がなければならないことが自分のためになされている事であるときです。さらには、一刻も早くしなさいと言う神の暗黙の促しがある時です。


最後にメッセージの生活への適用をまとめてみましょう。

1)初めの感動を持ち続けましょう。

これは信仰の原点で関した感動の気持ちに立ち続け、そしてそれをさらに発展させ、深めていって頂きたいという事です。

2)急ぐ必要のあることを急いでやりましょう。

羊飼いたちと同じように、やるべき事はすばやくやりましょう。こういうやらねばならないことと言うのは、誰でも一つは抱えているはずです。今日御使いたちは「恐れることはない」と私たちにその問題の解決を願い、またその解決を保証してくれているのです。残り10日ほどですが、やり残したことを残さず、解決して新しい年を迎えて下さい。


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