礼拝メッセージの要約
(教会員のメモに見る説教の内容)
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。
2001年5月13日
CS礼拝
心から赦そう
竿代 照夫 牧師
マタイ18章
A 赦すってむずかしい!
ある日、イエス様がいつものようにみんなに神様のおはなしをしておられました。そこに顔色をかえたお弟子のペテロさんが飛び込んできました。
「イエス様、聞きたいことがあります。」
「どうしたの、ペテロ?」
「それがどうしたもこうしたもありません。大変なんです。」
「何が大変なの?落ち着いてはなしてごらん。」
「それがね、イエス様。私がどうしてもムカつくんですよ。」
「誰にムカついてるんですか?」
「大きな声ではいえないけど、ヨハネです。あのヨハネが私につんつ んしてるんですよ。」
「そんな小さな事赦してあげなさい。」
「それがね、今日がはじめてじゃないんです。昨日なんか、おはようっていっても向こうを向いたんです よ。」
「へえー。そうなんですか。」
「その前にはね、低い声で『ペテロさん、もう少し出しゃばらないようにして下さい。』って、命令したんですよ。イエス様には猫 みたいに優しい声で話すあのヨハネがですよ。私は本当にムカついて仕方がないんです。」
「それで、質問って言うのは何ですか。」
「そうそう、質問でしたね。私は先輩だしクリスチャンだから、あんな生意気なヨハネでも赦してあげましたけどね。それでも限度って言うものがあるでしょう。イエス様、クリスチャンはね、人の悪いことを何回くらい赦してあげればいいんですか。昔の本には3回までって書いてあるけれ ど、大負けに負けて、7回位まででしょうかねえ。」
「ペテロ、7回じゃありませんよ。7かける70回まで、赦して上げなさい。」
「げっ!7x70ですって?ええと、七七49それにゼロを足して、490回ってこ とですか?」
「違うよ、ペテロ。7x70っていうのはね、完全にってことなんだよ。いつまでも、いつまでも赦して上げなさい。」
「ペテロ、それからヨハネ、他の弟子達もみんなこれから私が話すお話をよーくききなさい。いいですか。」
B 赦されるってすばらしい!
ある国にズーミーという王様がいました。ズーミー王様はね、国中が景気が悪くて苦しんでいました。
何とか景気を良くするためには不良債権をきちんと整理して、国の経済を立て直そうとしました。そこで不良債権の計算を始めたのです。
財務大臣が一生懸命苦労して、ズーミー王様から借金をしている人々のリストを作りました。
それでね、一番借金が多かった人はフーゴーさんっていうことが分かりました。何と借金の額は3千億円でした!
一万円札が3百万枚、段ボールに詰めたら3百個位の数になります!早速フーゴーさんが呼ばれました。
ズーミー王様はいいました。
「フーゴー。お前の借金は多すぎる。3千億円だぞ、3千億円!恥ずかしいとは思わないか!借りたものは返すこと、これが世の中のきまりではないか」
「はい、王様、申し訳ありません。必ず返し致します。来年まで待ってくださいませんか。」
「来年、来年といって先送りするのはどこかの国とそっくりだ。去年もそういったぞ。」
「王様、たしかに申しました。 私なりに経営努力を致しましたが、何しろこの不景気、ものを作ってもさっぱり売れません。でも今年はすこし景気が上向きになっていますから、来年こそは儲かって、きれいさっばり借金をお返し出来るでしょう。」
「ならぬ、ならぬ。そんなことをいつまで続けてもまた来年は同じ言い訳を言うにちがいない。わしは今年中に不良債権を処理したいのじゃ。返せぬとあらば仕方がない、おまえの奥さんと子供を奴隷に売りなさい。家も、土地も、自動車も、ゴルフの会員権も、競走馬もみんな売り払って、幾分かでも返したら、それで貸し借りは無しにしてあげよう。」
「王様、そんなことをおっしゃらないで下さい。私の妻も子供も可愛くてとても手放せません。家がなければ住むところはありません。自動車だっ て、私は足が弱いのです。ゴルフの会員権位は売ってもいいのですが、今は安い値段で、何の価値もありません。王様、お慈悲でございます。どうぞお許しください。このフーゴーの一生のお願いです。」
「そうか、考えて見れば、可哀相だな。まあ私も3千億位ならびくともしない。 おまえがこれからわしに忠義をつくすならば、この際きれいさっぱり借金をなしにしてあげよう。」
「えーーーーーーーーーー、王様、なしにしてくださるんですか?」
「そうだ、なしだよ。」
「ああ、王様、あなたは何とお優しい、世界の歴史にもみら れない素晴らしい王様でございます。おありがとうございます。おありがとうござ います。」
そこでフーゴーさんは王様の宮殿をでました。
「タラッタラッタラー。うれしいな、うれしいな、僕の借金ゼロだって。あーあ、楽しい正月やってくるーーーー。」
C 赦せない心はかなしい
フーゴーさんが歌を歌いながら歩いていると、おや、どこかで見たような人が・・・。
あっそうだ、あれはキューボーじゃないか。「やあ、キューボー、元気か ね。」
「こんにちは、フーゴーさん。ご機嫌うるわしゅう。」
「キューボー、忘れてはおらんだろうな。おまえは私に・・・。」
「はあ、借金がございます。確か50万 円で。」
「そうその通り。ところで今日は大晦日、50万円耳を揃えて返してくれるだろうな。」
「ところが、あのー、そのー。」「あのー、そのーでは分からん。返してくれるのか、どうだね。」
「フーゴーさま。もう一ヵ月待って頂けませんか。来月までには、なんとか都合がつきそうですので・・・。」
「ならん、ならん。借りたものは返すこと。借りたものは返すこと。これが世の中の決まりではないか。」
「フーゴーさま。確かにお返しいたします。ただ少しだけお待ち頂きたいのです。」
「返せぬとあらば仕方がない、おまえの奥さんと子供を奴隷に売りなさい。家も、土地も、自転車も、テレビも冷蔵庫も、みんな売り払って、幾分かでも返したら、それで貸し借りは無しにしてあげよう。」
「フーゴー様、そんなことをおっしゃらないで下さい。私は妻も子供も可愛くてとても手放せません。家がなければ住むところはありません。自転車だって、なければ商売になりません。フーゴー様、お慈悲でございます。どうぞお許しください。このキューボーの一生のお願いです。」
「だめだ、だめだ。今直ぐ返すんだ。」
「く、く、苦しい、のどを締めないで下さい。でも、フーゴーさま、今はお返しできません。」
「よーし、分かった。それならば、おまえを牢屋に入れるまでだ。おまえが50万円、耳を揃えて返すまで、牢屋にぶち込むことにする。分かったな。」
「見ーーーーちゃった、見ーーーーちゃった。こりゃーショッキングだなーー。」といったのは誰でしょう。
そう、ズーミー王様の家来が、フーゴーさんと、キューボーさんの話しを全部聞いてしまったのです。早速その家来は、ズーミー王様の所へご注進に及びました。
D.だから、心から赦そう!
「ズーミー王様、私は大変なものを見てしまったのです。とても悲しいことなんです。」
「それは何だ。」
「実はかくかくしかじか・・・・・・・・・・・・。」
「家来よ、それは本当か。」
「本当でございます。」
「うーむ、何たる恩知らず。フーゴーの奴め!わしは怒った、本当に怒ったぞ。家来!フーゴーを呼んできなさい。」
「フーゴー、わしは聞いたぞ。家来からみんな聞いたぞ。おまえは何という恩知らずだ。わしはおまえが泣いて頼んだから3千億円の借金を全部赦してやったのに・ ・・。聞くところによると、おまえはキューボーさんのたった50万円の借金を赦さずに、牢屋にぶち込んだそうだな。わしは本当に怒ったぞ。怒ったというより悲しい。本当に悲しい。何でわしの気持ちを分かってくれないのか。フーゴー、おまえが牢屋に行く番だ。そこでじっくり考えなさい。心から人を赦すということがどんなに大切なことかを。」
イエス様はここでお話しをやめてこうおっしゃいました。
「あなたがたもそれぞ れ、心から兄弟を赦さないなら、天のわたしの父も、あなたがたに、このようになさるのです。」
(マタイ18:35)考えて見ましょう。
天のお父様は、3千億円の借 金よりももっともっと重い私達の罪の借金を赦して下さいました。
その有難さが本当に分かったらね。私達にいじわるするいやな人間でも心から赦せるでしょうって、イエス様は言っておられるんです。
私達が本当に心から赦せる人になれるように、お祈りしましょう。
Message by Rev.Teruo SaoshiroMay 11th,2001