礼拝メッセージの要約
(教会員のメモに見る説教の内容)


聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。

2001年7月29日

「望みの門としよう」

井川 正一郎 牧師

ホセア書 2章14-23節

13 わたしは、彼女がバアルに香をたき、耳輪や飾りを身につけて、恋人たちを慕って行き、わたしを忘れてバアルに仕えた日々に報いる。――主の御告げ。――

14 それゆえ、見よ、わたしは彼女をくどいて荒野に連れて行き、優しく彼女に語ろう。

15 わたしはその所を彼女のためにぶどう畑にし、アコルの谷を望みの門としよう。彼女が若かった日のように、彼女がエジプトの国から上って来たときのように、彼女はその所で答えよう。


はじめに

今日取り上げます箇所は、時代で言いますとおよそ2750年前、紀元前750年後の話であります。この時期のユダヤの国家は、イスラエル(ヤロブアム2世)とユダ(ウジヤ王)の南北に分裂しており、物質的には栄えておりましたが、宗教的に腐敗していた時期に相当いたします。

この時期にはまた、アモス・イザヤ・ミカ・ホセアなどの多くの預言者が現れました。

今回のホセア書で取り上げられているのは、北王国の罪とその回復の問題であります。第2章5節に「罪の姿」が描かれ、刑罰の宣告がなされております。

今日取り上げます第14節になりますと、この刑罰からの回復が述べられています。そこでは「荒野」「アコルの谷」「望みの門」「契りを結ぶ」などの言葉が用いられているのが、一つの特徴となります。

今日はこの箇所を中心に、神様の回復の業の特徴がどの様なものかについて、二つの面から見て参りたいと思います。


A.原点に立ち返らせる、思い起こさせること

イスラエルの民の原点=出エジプトを思い起こさせた

ここで「荒野」に連れていくと言うことが書かれています。これは、文字通り荒野に連れていって、あなたをカラカラにして苦しめますよ、と言いたいのではありません。

この「荒野」「出エジプトの荒野」を意味しているのです。つまりは「真の神による恵みの場所」を指しているのです。

出エジプトでイスラエルの民を荒野に連れ出されたのは、バアルの神ではなく、真の神様であり、その行為はイスラエルの色民をエジプトから救い出し、約束の地へ連れていくという恵みの行為そのものでした。

また、その当時のイスラエルの民と神様の間には、真実な信仰の関係が存在いたしました。

ここで神様が仰りたいのは、そのような信仰の原点に立ち返らせますよ、と言うことなのです。

ここでもう一つ出てくる言葉に「アコルの谷」と言うものがあります。これは何を意味するのでしょう。

「アコルの谷」はヨシュア記7章に記されている場所です。戦いで戦利品を獲てはならないと言う神様の教えを破ったアコンの罪のゆえに、イスラエルの民は次の戦場であるアイの町で大敗を喫します。その後、アコンとその家族がこのアコルの谷で罰せられたのです。

つまり「アコルの谷」=「徹底的な処罰の場所」を意味しているのです。神様は北王国の人々に、このような徹底的な処罰の場所にもどれと語っておられるわけであります。

しかし、この「アコルの谷」は処罰の場所だけを意味しないのが、聖書の奥深い点であります。

「アコルの谷」は実は「約束の地への天然の門」に相当する箇所であり、まさに神様が用意されている大きな恵みへの第1歩を踏み出す場所でもあるのです。つまり、「大いなる回復の場所」でもあるわけです。

このように神様が用意される「回復」では、原点=ルーツが探られ、悔い改めるべき点を徹底的に悔い改め、そして新しい恵みへのスタートが切られると言う内容が含まれております。

思い出したくないような過去の罪・思い出が、皆さんにもあるかも知れません。それを「アコルの谷」で甦らせてしまうかも知れませんが、しかしそれをしっかりと悔い改めることにより、新たに素晴らしい恵みへのスタートが切らせていただけると言うのであります。素晴らしい約束ではないでしょうか。


B.大変貌(新しさ)をもたらすもの

1.神の回復は全く新しい状態をもたらせてくれるもの

神様が下さる回復とは、大逆転であり、大転換であります。前とは全く違う、霊的に全く新しいものに変えられる事を示しております。

それは丁度、ここで述べられている断罪の地「アコルの谷」が、新しい約束の地への扉に変わったようなものです。

2.将来いや過去さえ変えることができる

普通私たちは過去を変えることはできないと考えます。ところが神様の回復の御業においては、過去さえ変えることが可能になると言うのです。

もう少しわかりやすく言いますと、どの様な悲惨な過去の出来事であっても、神様の恵みを通りますと全くものの見方が変わってきて、新しい価値を見出すことが出来るようになると言うことです。

「後悟るべし、新しく悟るべし」と聖書に書かれているとおりです。

エベン・エゼルと言う場所は、背信の民が敵に完膚無きまで負けた場所でありましたが、サムエルの指導によって信仰を回復し、その同じ場所で主と共に戦って大勝利を得た話があります。

このように大敗北の地を大勝利の地に変えてくださるのが、神様の回復の恵みなのです。

このような大変革の鍵はどの様なものでしょうか?それは、民に対する神様の御愛・憐れみに他なりません。

過去の罪に苛まれてばかりいれば、どんなに苦しいでしょう。しかし神様はそのような苦しみすら、大変貌させて下さいます。このような神様の恵みを是非受け取らせていただきましょう。


しめくくり・今週心掛けること

1.今も将来も、過去を変えられるのだということを知りましょう

2.恵みの門とは門であり、あくまでも入り口であることを知りましょう

これは結婚式のようなものであり、その後夫婦のように、神様と私との「永遠の契り」「永遠の恵みの交わり」を深めていくことが大切です。

回復の御業はすなわち、このような長く深い神様との交流の入り口なのであり、その後神様との関係を深めていくことがとても大切です。

16-23節をもう一度読みましょう。そこにあります「契りを結ぶ」ということばに注目してみて下さい。

私たちは今一度「アコルの谷」が望みの入り口になっているか確認し、さらにそこから恵みが深まり、広がっているかについても、今週確認いたしましょう。


Message by S. Ikawa, Edited by K. Ohta on Aug. 2th, 2001