「ローマ人への手紙」について

1.著者: パウロ

2.宛先: ローマにいる信徒たち(ユダヤ人クリスチャンと異邦人クリスチャンとの混成、しかし後者が多数。また、「ローマ教会」という統一的な組織体は誕生していなかったらしい。)

3.執筆事情: 56年ごろ、第三次伝道旅行の最後の奉仕地であるコリントから、近い将来訪問する予定であるローマの信徒たちにフィーベを通して挨拶を送る必要から書かれた。

4.目的: ローマの信徒たちに対し、福音の本質を提示することによって、訪問への心備えを与えるため。ユダヤ人信徒に対しては、福音が全世界の民を包括するものであることを示し、異邦人信徒に対しては、福音の根は(旧約)聖書にあり、それに接がれる形で皆が神の民に受け入れられることを示している。

5.鍵の言葉:  「私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシャ人にも、信じるすべての人にとって、救いを得させる神の力です。」(ローマ1:16)

   

ローマ書のアウトライン

■挨拶(1:1〜15)
 ・自己紹介と祝福(1:1〜7)
 ・ローマの信徒への願望(1:8〜15)

■神の義の啓示としての救い(1:16〜17)

■ユダヤ人も異邦人も等しく神の義を欠いている(1:18〜3:20)

 ・異邦人の罪(1:18〜32)
 ・ユダヤ人の罪(2:1〜29)
 ・全世界の罪(3:21〜20)

■神は贖いを通して義を備えてくださった。人は値なしに信仰だけで義とされる(3:21〜5:21)
 ・義認の手段(3:21〜31)
 ・義認の実例(4:1〜25)
 ・義認の結果(5:1〜21)

■神の義は信仰者の内に働いて、人を聖とする(6:1〜8:39)
 ・自己に死ぬことによって(6:1〜23)
 ・キリストとの結合によって(7:1〜6)
 ・聖化の必要(7:7〜25)
 ・内住の聖霊によって(8:1〜39)

■イスラエルを扱う神の義(9:1〜11:36)
 ・イスラエルの選び(9:1〜33)
 ・イスラエルの責任(10:1〜21)
 ・イスラエルの祝福(11:1〜36)

■義とされた人は実際生活において神を証する(12:1〜15:13)
 ・愛の生活の基礎(12:1〜2)
 ・互いの愛(12:3〜21)
 ・クリスチャンの市民生活(13:1〜14)
 ・弱いものへの配慮(14:1〜15:13)

■終わりの言葉(15:14〜16:27)
 ・パウロの証(15:14〜33)
 ・挨拶(16:1〜24)
 ・祝祷(16:15〜27)


    

パウロの生涯と手紙

年代(AD) 主な出来事 手 紙
30 十字架と復活  
32頃 サウロ、教会を迫害  
34頃 回心  
36/37 エルサレムを訪問  
46〜48 第一次伝道旅行  
48 エルサレム会議 ガラテヤ
49〜51 第二次伝道旅行 1、2テサロニケ
52〜56 第三次伝道旅行 1、2コリント
ローマ
56〜58 カイザリヤで幽囚  
59〜61 ローマで幽囚 ピレモン、コロサイ、
エペソ、ピリピ
62頃 自由な伝道活動 1テモテ、テトス
66〜67 ローマで幽囚・殉教 2テモテ
 

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