礼拝メッセージの要約
(教会員のメモに見る説教の内容)

 
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書(著作権・日本聖書刊行会)によります。
 
2009年1月4日
 
「恵みと知識において成長」
年頭講壇
 
竿代 照夫牧師
 
Uペテロ3章14-18節
 
 
[中心聖句]
 
  18   私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。
(Uペテロ3章18節)

 
聖書テキスト
 
 
14 そういうわけで、愛する人たち。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、しみも傷もない者として、平安をもって御前に出られるように、励みなさい。15 また、私たちの主の忍耐は救いであると考えなさい。それは、私たちの愛する兄弟パウロも、その与えられた知恵に従って、あなたがたに書き送ったとおりです。16 その中で、ほかのすべての手紙でもそうなのですが、このことについて語っています。その手紙の中には理解しにくいところもあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の個所の場合もそうするのですが、それらの手紙を曲解し、自分自身に滅びを招いています。17 愛する人たち。そういうわけですから、このことをあらかじめ知っておいて、よく気をつけ、無節操な者たちの迷いに誘い込まれて自分自身の堅実さを失うことにならないようにしなさい。18 私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。アーメン。
 
1.新年の展望
 
 
・危機の時代:
迎えました2009年、昨年来の金融危機がどのように広がるのか、収束するのか予測が難しいことですが、先ず経済的に厳しい年であることは間違いなさそうです。日本の政治の面から言えば総選挙を控えています。日本の政治を動かすのがどのような思想に立った人々か、私達は祈りをもって注視し、その選択に加わらねばなりません。また、世界をリードしているアメリカが変革を掲げる新しい大統領を迎えます。アメリカが良い方向に向かうのか、或いは、期待はずれに終わるのか、世界中が注目しています。

・恵みの広がりと深さを!:
このような厳しい年ですからこそ「主の恵みの広がりと深まり」を祈ります。私が個人的に与えられた今年の約束は、イザヤ11:9「主を知ることが、海をおおう水のように、地を満たすからである。」です。キリストの知識が、全世界を広く満たし、人格の変革に至るまで深く満たすとのお約束です。この御言との関連で、ペテロがその第二の手紙の最後に勧めた「私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。」(Uペテロ3:18)という言葉も与えられました。私達が恵みにおいて、キリストの知識において、進歩の明らかな年としたく願います。
 
2.「成長」は、ペテロの願い
 
 
・「成長への勧め」で始まる手紙:
さて、成長の勧めが第二ペテロの手紙の締めくくりであると言いましたが、実はこの勧めは、手紙の書き出しにも見られます。1:2には、「神と私たちの主イエスを知ることによって、恵みと平安が、あなたがたの上にますます豊かにされますように。」と祈られています。それに続いて、1:5-9には、「あらゆる努力をして、信仰には徳を、徳には知識を、知識には自制を、自制には忍耐を、忍耐には敬虔を、敬虔には兄弟愛を、兄弟愛には愛を加えなさい。これらがあなたがたに備わり、ますます豊かになるなら、あなたがたは、私たちの主イエス・キリストを知る点で、役に立たない者とか、実を結ばない者になることはありません。」と、私達がその品性において、建築物が段々積み上がっていくように、継続的に建て上げられていくことが勧められています。

・「成長への勧め」で終わる手紙:
1章の勧めの後、2章では偽りの教えへの警告があり、3章では近づきつつあった再臨への備えが勧められています。その締めくくりが3:18「私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと(彼の)知識において成長しなさい。(auksanete de en chariti kai gnwsei tou kyuriou heemwn kai swteeros Ieesou Christou.[KJ] But grow in grace, and in the knowledge of our Lord and Saviour Jesus Christ. [NIV]But grow in the grace and knowledge of our Lord and Savior Jesus Christ.)」と勧められているのです。
 
3.「成長」は、異なる教えへの防御
 
 
・偽教師への警告(17節):
17節の「愛する人たち。そういうわけですから、このことをあらかじめ知っておいて、よく気をつけ、無節操な者たちの迷いに誘い込まれて自分自身の堅実さを失うことにならないようにしなさい。」という警告は2章全体の偽教師への警戒を纏めたものです。

・18節の「しかし」の意味:
18節は「しかし」から始まっていますが、それは、消極的な側面から言えば、偽教師の誤りを見抜き、糾すことの大切さを説き、積極的な側面から言えば、絶えざる成長の大切さを説いているのです。つまり、私達クリスチャン生活が防御一辺倒ではなく、成長路線という積極攻勢に出るべきことを説いているのです。肉体が健康に保たれている時には、少々のビールスを退治することができるように、私達が霊的に成長し続けることが、異なる教えに対する充分な防御なのです。
 
4.「成長」は、継続的であるべき
 
 
・継続的な用語(現在進行形):
この18節の「成長しなさい(auksanw=increase, grow)」は、「現在進行形」です。人間の身長は、あるところで止まってしまいます。むしろ、年を取ると、姿勢が悪くなったせいか、骨が縮んだせいか、低くなってしまいます。しかし、クリスチャン生涯において、停滞はありえません。このペテロの言葉は現在進行形が使われています。成長し続けなさい、というのが正確な翻訳です。

・クリスチャン生涯は成長の連続(新生→聖化→栄化):
クリスチャンは、新生から聖化そして栄化へと成長を遂げていきます。栄化の目標はキリストと同じ姿になることですが、それには、この地上にいる限り終点はありません。

・成長しない危険:
聖書は、クリスチャンが幼児期に止まったままでありうることを示唆していますが、これは正常な状態ではなく、危険信号として述べています。Tコリント3:1‐3でパウロはコリント教会に向けて「さて、兄弟たちよ。私は、あなたがたに向かって、・・・キリストにある幼子に対するように話しました。私はあなたがたには乳を与えて、堅い食物を与えませんでした。あなたがたには、まだ無理だったからです。 実は、今でもまだ無理なのです。あなたがたは、まだ肉に属しているからです。あなたがたの間にねたみや争いがあることからすれば、あなたがたは肉に属しているのではありませんか。そして、ただの人のように歩んでいるのではありませんか。」と厳しく戒めています。ヘブル5:12−13には「あなたがたは年数からすれば教師になっていなければならないにもかかわらず、神のことばの初歩をもう一度だれかに教えてもらう必要があるのです。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要とするようになっています。」と幼児期に止まる危険を示しています

・聖化の転機とその後の進歩:
(Uコリント3:18)聖化の転機を経たクリスチャンは、もうきよめられたから進歩は要らないのでしょうか。反対です。きよめられたからこそ、進歩の速度が増進しなければなりません。Uコリント3:18には「私たちはみな、顔のおおいを取りのけられて、鏡のように主の栄光を反映させながら、栄光から栄光へと、主と同じかたちに姿を変えられて行きます。これはまさに、御霊なる主の働きによるのです。」と勧められています。
 
5.「成長」は恵みの増大
 
 
18節は、素直に訳しますと、「恵において、また、私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの知識において成長しなさい。」となります。日本語としてはぎこちないのですが、恵みにおいて成長し、知識において成長しなさい、と分けて言っているのです。

・恵みとは:
さて、「恵み」とは、「価しない者に与えられる神の顧み」と定義できましょう。その恵みにおける成長とは、神の恵みが豊かに与えられることです。ヤコブ4:6に、「神はさらに豊かな恵みを与えてくださいます。」と約束されています。ヨハネ1:16には「この方の満ち満ちた豊かさの中から、恵みの上にさらに恵みを受けたのである。」とも記されています。

・恵みが注がれる分野の拡大:
私達が神の祝福を貪欲に求めると言うのではなく、神の恵みが注ぐ分野を広げなさい、私達の弱さの部分に神の恵みを期待しなさいと言うことです。恵みを注いでいただくチャンネルを全開しなさいと言っているのです。例えば、私は怒りっぽい人間だ、だから時々怒って人を傷つけるのはやむを得ないんだ、と諦めたら、そこで神の恵みはストップします。そうでなくて、私はこんなに怒りっぽい人間でどうにもなりませんが、主よ、こんな人間でもあなたの恵みで変えられるでしょうか、と心の準備を広げることが大切です。神の活動の為に最大限の余地を残すと言うことです。頑張りではなくて、より大きな神への依存です。自己義ではなくて、キリストの義を頂くことです。

・恵みを頂く謙遜の深まり:
ですから、恵みの増大とは、はっきり言って謙遜の増大です。神は謙るものに恵みを与えなさいます(ヤコブ4:6)。私達は「恵みの分かる」クリスチャンになりたいと思います。頑張りではなく、努力でもなく、神の恵みに頼るクリスチャンとさせていただきましょう。恵みに成長するとは、より謙遜になる、否徹底的に謙遜になる過程とも言えましょう。神の恵み無しには一歩も進めないと言うほどに、神に対して徹底的に依存的になることです。

・キリストらしい品性の増加:
恵みの増大とは、キリストの恵みを頂く結果として、「キリストらしい品性」に現れます。ペテロは1:4に、「その栄光と徳によって、尊い、すばらしい約束が私たちに与えられました。それは、あなたがたが、その約束のゆえに、世にある欲のもたらす滅びを免れ、神のご性質にあずかる者となるためです。」とペテロは世の欲とそれのもたらす亡びを逃れ、「神のご性質にあずかる者となる」事が恵みにおける成長であると語っています。

・恵みの手段:
「恵みの手段」としていつでも指摘されていること(聖書を継続的、定期的に読むこと、祈ること、集会に出席すること、伝道すること、献金や奉仕に励むこと)を重視しましょう。努力や頑張りとは違うのですが、恩寵を頂くために自らの時間と心を整えることは大切です。神が恵みもうとしても、私達の側で余りにも忙しいために、神の給油時間を私達が制限している、ということはないでしょうか。この年、聖言の学び、祈りにおいてもっと時を取りましょう。ウェスレーは、こうした恩寵の手段を取らずに恵みだけを期待するのは、狂気に等しいと語りました。この一年が終わった時、神がどんなに大きな恵みを注いで下さったかを、心から証しし、それによって互いが驚くような結果を期待しようではありませんか。
 
6.「成長」はキリスト知識の増加
 
 
キリストは私達の知識の対象です。そのキリストをより深く、より近しく、より現実的に知らせていただきましょう。

・キリストに関する知識の増加:
私達は、聖書に触れることによって、「キリストとはどんなお方か」「キリストのみ心は何か」「キリストの御力はどんなに大きいか」「キリストの私達への愛はどんなものか」を知ることが出来ます。この年、聖書をしっかり読みましょう。少なくとも一年に始めから終わりまで読み通せるプランに従って読み始めて下さい。

・人格的な交わりの増加:
聖書で「知る」と言う言葉は、単なる頭の知識ではなく、人格的な交わりの事です。主イエスを知ると言うことは、彼とより多くの時間、より深く、より親しく交わることです。彼と物語り、彼に頼り、彼に愛を告白することです。

・平安の増加:
その様な意味で、イエスを知る事は恵みと平安の増加に繋がります。1:2には「神と私たちの主イエスを知ることによって、恵みと平安が、あなたがたの上にますます豊かにされますように。」とあります。1:3‐8は「私たちをご自身の栄光と徳によってお召しになった方を私たちが知ったことによって、主イエスの、神としての御力は、いのちと敬虔に関するすべてのことを私たちに与えるからです。・・・これらがあなたがたに備わり、ますます豊かになるなら、あなたがたは、私たちの主イエス・キリストを知る点で、役に立たない者とか、実を結ばない者になることはありません。」とクリスチャンに必要な全ての徳が積み上がっていく過程を記しています。その基本はキリストを知ることです。
 
7.教会としても、個人としても、成長の年に!
 
 
・個人的な成長を:
お分かり頂けたように、恵みに成長することとキリスト知識に成長することとは実質的に同じ事です。私達は今年、否、一生かかってキリストの恵みと知識に成長し続けましょう。

・教会的な成長を:
教会としても、恵みに成長しましょう。互いに祈りあい、励ましあうことを通して教会は成長します。そのような互いの人間関係が、牧会小グループをはじめ、様々なグループ活動を通して、教会全体が成長する年でありますように祈ります。
 
お祈りを致します。