礼拝メッセージ
(インマヌエル中目黒キリスト教会)

 
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書第三版(著作権・新日本聖書刊行会)によります。
 
2010年5月2日
 
「牛も羊も悔い改める」
CSデー礼拝 / ヨナ書連講(7)
 
竿代 照夫 牧師
 
ヨナ書3章4-10節
 
 
[中心聖句]
 
  8,9   人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行ないとを悔い改めよ。もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。
(ヨナ3章8-9節)

 
聖書テキスト
 
 
4 ヨナは初め、その町にはいると、一日中歩き回って叫び、「もう四十日するとニネベは滅ぼされる。」と言った。5 そこで、ニネベの人々は神を信じ、断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで荒布を着た。6 このことがニネベの王の耳にはいると、彼は王座から立って、王服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中にすわった。7 王と大臣たちの命令によって、次のような布告がニネベに出された。「人も、獣も、牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。8 人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行ないとを悔い改めよ。9 もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。
10 神は、彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覧になった。それで、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直し、そうされなかった。
 
1.ニネベに行ったヨナさん(イラスト@)
 
 
・悔い改めた預言者:
ヨナさんというと、魚に呑まれた預言者として有名ですね。大きな大きな町、悪いことを平気でやっている町ニネベというところに行って、悪いことをやめなさいという神のことばを伝えるように、と言われたのに、反対のタルシシュに向かって船に乗って逃げ出したのがヨナさんでした。嵐に遭って船が沈みそうになり、とうとうヨナさんは海に投げ込まれました。でも、そこで魚に呑まれ、命は助かったのです。ヨナさんは、神様のいうことを聞かなかったことを「ごめんなさい」しました。魚はヨナさんを吐き出し、ヨナさんは救われました。

・もう一回のチャンス:
自分の国に戻ってお祈りしていたヨナさんに、神様はもう一回チャンスを下さいました。「立ってニネベに行きなさい。そして、私が言うとおりの言葉をニネベ人に伝えなさい。」今度ばかりはヨナさんもすぐに「はい、喜んで行きます。」と立ち上がって、直ぐにニネベに向かいました。ニネベはイスラエルからは9百キロも離れています。朝早くから夜遅くまで歩いて、それを一ヶ月くらい続けてやーーーっと着きました。
 
2.ニネベで伝道(イラストA)
 
 
・大きな町ニネベ:
さて、ニネベについたヨナさんは驚きました。お城の大きさは、イスラエルのどの町よりもずっと大きく、周りの町々を入れると、ぐるっと歩くのに三日はかかります。お城の壁の厚さは3メートルくらいあって、その上を馬に引かれた戦車がすれ違いに通れます。お城の中にはきれいな建物が幾つもあります。博物館みたいな建物には、世界中から集めた宝物がぎっしり展示されていました。住んでいる人も大勢で、人口は100万人近く、どこを見ても人だらけです。それだけでなく、人々がしゃべっていることばは、アッシリヤ語といって、ヨナさんが普段しゃべっているヘブル語と似ていますが、アクセントが違って外国語みたいです。ヨナさんの足は、少し震えてきました。自分みたいな人間が、こんなに沢山の人に神様のお話をして通じるだろうか、みんなに馬鹿にされないだろうか、石を投げつけられて殺されはしないだろうか、不安になってきました。

・祈って伝道を始める:
その時、ヨナさんは深呼吸をし、天を見上げてお祈りしました。「神様、私はあなたの命令で参りました。これから、あなたのおっしゃることをお話しします。どうか、ちゃんと話せるように助けてください。」するとヨナさんの心は落ち着いてきました。

・ヨナさんのメッセージ:
ヨナさんは、町の中でも一番人々が集まっている市場の角に立ちました。「ミナサン、キイテクダサイ。ミナサンニ、神様ノオハナシヲオツタエシマス。」と大きな声を張り上げました。少しことばがたどたどしかったせいか、人々の足が止まりました。なんだ何だ、と集まってくると、そこに立っているのは、見るのも恐ろしい顔をした外国人でした。鼻が半分欠けていて、耳も変な形をしていました。顔色も濃いところ薄いところがまだらになっていて、一瞬、宇宙人かなとみんな思いました。ヨナさんは続けます、「コレカラ40日タツト、コノニネベノ町ハホロボサレマス。ナゼナラ、神様ハコノ町ノコトヲ怒ッテイラッシャルカラデス。ニネベノ人々ハ、チョー残酷、チョー乱暴、チョー泥棒、チョーエッチ、チョーイジワルデ、世界中ノ人々ガ皆ニネベノ人ノタメニ苦シンデイマス。ソンナ悪イコトヲ悔イ改メナケレバ、神様ノ罰ガ下リマス。」聴いている人々はびっくりして、ヨナさんを見つめました。

・ヨナさんの顔:
ヨナさんは自分の顔を指してこう言いました、「私ノ顔ヲ見テクダサイ。私ハ一度神様ニソムイタカラ、魚ニ飲マレテシマイマシタ。悔イ改メタノデ神様ハユルシテクダサイマシタケレドモ、魚ノオナカニイタセイデ、コンナ変ナ顔ニナッテシマイマシタ。ミナサンモ、神様ノイウコトヲ素直ニ聞イテクダサイ。神様ハ、トテモ優シイオ方デス。デモ、言ウコトヲ聞カナイ人ニハ厳シイオ方デス。」
 
3.悔い改めたニネベ人(イラストB)
 
 
・ニネベ人の涙:
シーンと静まり返った人々の目から涙が出てきました。「そうだ、この男の言うとおりだ。俺たちは、世界中に軍隊を送って人々を遠慮なく殺し、町々を壊し、宝物や食べ物、着物を略奪し、そのおかげでこんな贅沢な暮らしをしているんだ。考えてみれば、こんな罪作りな生き方はない。神様に滅ぼされるのは当然だ。」そして、その場に平伏し、「神様、ごめんなさい。私たちは本当に意地悪で、乱暴で、うそつきで、エッチで、とんでもない生き方をしていました。もうこれから神様に喜ばれる生き方をしますから、どうか憐れんで、私たちを滅ぼさないで下さい。」と祈り始めたのです。

・断食の祈り:
ヨナさんは続けました。「皆サンガ、本当ニゴメンナサイヲシタイナラバ、コノ場所デ祈ルダケデハダメデス。家ニ帰ッテモ祈リ続ケナサイ。ゴハンヲタベル時間モ忘レテ、祈リ続ケナサイ。」みんなは家に帰っても、食事を抜きにし、普段の柔らかい着物を脱ぎ捨てて、ゴワゴワの麻でできた袋の様な着物に取り替えました。肌にチクチク刺さって痛かったのですが、そんなことはお構い無しです。ともかくお祈りを続けました。その噂が広がって、殆ど町中全部がその祈りに加わりました。たった一人の宣教師が言った雷のようなメッセージに、乱暴なニネベ人は驚くほど素直に答えました。人間は外側だけで判断してはいけませんね。
 
4.王さまのおふれ(イラストC)
 
 
・ニュースが王さまに:
みんなが断食をし、麻袋をかぶってお祈りをしている、と言うニュースは、間もなく王様にまで伝わっていきました。王様は、ハタと気がつきました、「そうだ、我々は世界の超大国として、色々な国をやっつけてきたが、やっつけられた人々から見れば、我々アッシリヤの国はイヤーな国だったに違いない。神様から滅ぼされても仕方がないことをずいぶんやってきたからなあ。よし、この際思い切って皆で悔い改めよう。大人も子どもも、身分の高いものも低いものも、男も女も、皆で悔い改めよう。人間だけではなく、牛も羊も皆で悔い改めよう。さあ、家来たち、おふれを出しなさい。これから先一週間、みんなで断食しよう。私が真っ先に断食する。」と言うや否や、自分のきれいな王服をガバッと捨て、じぶんが先に麻袋に着替え、王さまの席を降りて床に跪き、灰を持ってこさせたと思うとその灰を被ってオイオイなきながら、悔い改めのお祈りを始めました。それから、家来を読んで、おふれを書かせました。その内容は7-9節です。「牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行ないとを悔い改めよ。もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。」

・羊も牛も悔い改める:
このお触れが出てからは、みんな一層お祈りに集中しました。人間だけではなく、牛も羊も断食に加わりました。もちろん、牛や羊の場合は喜んで、と言うわけには行かなかったかもしれません。「今日は牧場に連れて行ってくれないのかなあ、おなかがすいたなあ、モー我慢ができない」と牛は思いましたし、羊は羊で「断食しようがしまいが、メエメエの勝手ではないか。弱い僕らまで断食させられるのはかなわないなあ。」といったかどうかは分かりませんが、人間の悔い改めの間、ずっとお付き合いしました。人間の方は、動物に餌をやる時間も惜しんで、祈りに励みました。牛や羊が何を悔い改めたかは分かりません。でも私は自分の経験から、動物だって悔い改めるって知っています。ケニアにいた頃、我が家のナナという犬に、一つだけ困ったことがありました。1キロほど離れたところにある屠殺場から捨てられる死肉が大好きで、何度言い聞かせても我が家を脱走してその死肉を食べるのです。しかし、一度食べ過ぎてひどくお腹を壊して悔い改めました。腰が抜けそうになるほどお腹を壊して帰ってきたのです。それからは、とても良い犬に生まれ変わって14歳まで生きて天命を全うしました。ヨナさんの時代の牛や羊がどう悔い改めたかはわかりません。でも、牛も羊も断食するほど、みんなが心から悔い改めたのです。「もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。」って、厳しい神の怒りを感じながら、「もしかすると」というかすかな望みを抱いて、みんなで悔い改めました。
 
5.神様の憐れみ
 
 
・滅ぼす計画とりやめ:
神様は、牛も羊も一緒になって、皆が心からの悔い改めたのを喜びなさって、ニネベを滅ぼす計画を止めになさいました。良かったですね。

・私たちも悔い改めよう:
ニネベの人だけではなく、私たちも悪い行いを悔い改める必要があります。悔い改めとは、ごめんなさいと言うだけではありません。悪いことを止めて、神様に従う生活を始めることです。神様は、この朝、私たちの心に話しかけておられませんか。私たちの生活の中で、いけないと分かっているのに止められない習慣、言ってはいけないのに言ってしまう悪口、イジワル、うそ、いじめなどなど、もし神様から、それはいけないよと語られたら、ニネベの人々のように、グジグジ言い訳しないできれいさっぱり心の底からごめんなさいを言おうではありませんか。
 
お祈りを致します。