礼拝メッセージ
(インマヌエル中目黒キリスト教会)

 
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書第三版(著作権・新日本聖書刊行会)によります。
 
2012年5月6日
 
「神さまの声をきく」
CSデー・スペシャル
 
竿代 照夫 牧師
 
第1サムエル記3章1-14節
 
 
[金言]
 
  10   主よ。お話しください。しもべは聞いております。
(第1サムエル3章10節)


 
聖書テキスト
 
 
1 少年サムエルはエリの前で主に仕えていた。そのころ、主のことばはまれにしかなく、幻も示されなかった。2 その日、エリは自分の所で寝ていた。――彼の目はかすんできて、見えなくなっていた。――
3 神のともしびは、まだ消えていず、サムエルは、神の箱の安置されている主の宮で寝ていた。4 そのとき、主はサムエルを呼ばれた。彼は、「はい。ここにおります。」と言って、5 エリのところに走って行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので。」と言った。エリは、「私は呼ばない。帰って、おやすみ。」と言った。それでサムエルは戻って、寝た。6 主はもう一度、サムエルを呼ばれた。サムエルは起きて、エリのところに行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので。」と言った。エリは、「私は呼ばない。わが子よ。帰って、おやすみ。」と言った。7 サムエルはまだ、主を知らず、主のことばもまだ、彼に示されていなかった。
8 主が三度目にサムエルを呼ばれたとき、サムエルは起きて、エリのところに行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので。」と言った。そこでエリは、主がこの少年を呼んでおられるということを悟った。9 それで、エリはサムエルに言った。「行って、おやすみ。今度呼ばれたら、『主よ。お話しください。しもべは聞いております。』と申し上げなさい。」サムエルは行って、自分の所で寝た。10 そのうちに主が来られ、そばに立って、これまでと同じように、「サムエル。サムエル。」と呼ばれた。サムエルは、「お話しください。しもべは聞いております。」と申し上げた。
11 主はサムエルに仰せられた。「見よ。わたしは、イスラエルに一つの事をしようとしている。それを聞く者はみな、二つの耳が鳴るであろう。12 その日には、エリの家についてわたしが語ったことをすべて、初めから終わりまでエリに果たそう。13 わたしは彼の家を永遠にさばくと彼に告げた。それは自分の息子たちが、みずからのろいを招くようなことをしているのを知りながら、彼らを戒めなかった罪のためだ。14 だから、わたしはエリの家について誓った。エリの家の咎は、いけにえによっても、穀物のささげ物によっても、永遠に償うことはできない。」
 
1.ぼくはサムエル
 
 
・ラマタイム・ツォフィム生まれ(地図):
ぼくの名前はサムエルです。ぼくの生まれは、イスラエルの中のラマタイム・ツォフィムというところです(地図)。

・父:エルカナ、母:ハンナ:
お父さんはエルカナ、お母さんはハンナと言います(イラスト@)。

・サムエルの意味:
「神の名前」(少し言葉を入れると「神に祈って聞かれた」):今、サムエルという名前をもった人は世界中に何万人と居るけれど、ぼくが元祖です。もっともサムエルと全部呼ばないで、サムって短くする人が多いんだけれど、ぼくは好きではありません。だって、サムエルって言うのは、全部でちゃんとした意味があるからなんです。意味を知りたいですって?サムエルはヘブル語の読み方では、シェムーエルです。シェムというのは「名前」です。エルとは「神さま」のことです。合わせると「神の名前」となります。でも、これにちょっと言葉を入れてシャーウール・メーエルというと、その意味は、「神さまにお祈りして聞かれた」となります。どうもこの方がカッコいいなと思います。

・母の祈りによって生まれた子供:
それはともかく、ぼくのお母さんは、結婚してから長いこと子どもがなくて、悲しい思いを続けていました。必死になって神さまにお祈りした時に、祭司(今で言うと牧師)のエリ先生に、大丈夫、神さまはあなたの祈りを聞いてくださったよ、と励まされて家に帰ったんです。それで、ぼくが生まれたから、サムエルって名前にしたんです。でも、その時お母さんは、神さまにこんな約束をしました。「もし、私に子どもが与えられたら、その子を神さまのお仕事におささげします。」って。ぼくは、小さい時からその話を聞かされていて、嬉しいなあという気持ちと、もうひとつ、お母さんとさよならするのは辛いなという気持ちの半分半分で育ちました。
 
2.献身する(6歳ころ)
 
 
・献身=一生を神の仕事だけに使う:
6歳になりました。もうお母さんのお乳を飲むのをやめて、普通のパンをいつも食べるようになった頃です。今の皆さんの離乳は2歳ごろでしょう。でもぼくたちのころはみんな6歳頃までお母さんのお乳を飲んでいたんですよ。さて、お母さんがぼくを呼んでこういいました。「サムエル、これからあなたは、祭司のエリ先生のところで献身するのですよ。そこで、先生のいうことを良く聞いて、神さまのお仕事をするようになるのです。」ぼくは聞きました、「お母さん、献身って何?」「献身って言うのはね、自分の体を神さまにお捧げすることなのよ。」「お捧げするって何?」「他のお仕事をしないで、いつでも神さまに礼拝したり、お祈りしたり、神さまのお話をみんなにしたりすることなのよ。」「ぼく、そんなことできるかなあ」「そりゃ、自分ではできないけれど、神さまが助けてくださるから大丈夫よ。それに、エリ先生が一つ一つ教えてくださるからね。」「うん、わかった。じゃあ、行くよ。」という具合でした。

・シロへのお参り:
それは、シロでお祭りのある日でした。ぼくはお母さんと一緒に、生まれて初めてシロという町へ行きました。そこには、神さまを礼拝するためのテントが張られていました。お母さんは、牛一頭と、麦の粉を一袋、それからぶどう酒の皮袋と持ってそこへ行きました(イラストA)。もちろん、ぼくが着る上着と、何枚かの下着を袋に入れて、それから、すこしだけおやつも入れてくださいました。

・神の家で暮らすようになる:
お母さんはエリ先生にお会いして、こう言いました。「先生、私を覚えておいでですか。私の名前はハンナです。今から7年前、子どもが与えられるように必死にお祈りした私を。ご覧下さい。そのお祈りが答えられて与えられたのがこの子です。サムエルといいます。この子を一生涯神さまにおささげするとお約束しましたね。今日つれてきましたから、これから先生のところであずかって、しっかり躾けてください。私はこれで帰ります。よろしくお願いします。」と言ったかと思うと「サムエル、これからは、エリ先生があなたのお父様、いやおじい様なのですよ。良く言うことを聞いて、立派な大人になってください。」とひとこと言って、すたすたと家に帰ってしまいました。「おかあさーーん」って叫ぼうと思ったけれど、ぐっとこらえて「ぼくは男だから泣かない」って我慢しました。
 
3.小さい献身者
 
 
・献身者の仕事:
その日からぼくは「献身者」になりました。といっても、大きな仕事はありません。毎日、テントの周りを掃除したり、ランプをつけたり、戸締りをしたり、でもぼくはともかく一生懸命やりました(イラストB)。ときどきお母さんを思い出して、テントの裏でしくしく泣くこともあったのですが、でもお母さんがぼくのためにお祈りしていてくださることが分かっていましたから、逃げて帰ろうとは思いませんでした。エリ先生はとても優しくて、一緒にご飯を食べる時には、「サムエル、淋しくないか。困ったことは何でも私に言いなさいよ」っておっしゃるし、アブラハムさんやモーセさんのお話はしてくださるし、とても楽しいときでした。

・母の訪問:
そんなことをしているうちに一年が経ちました。お祭りの日です。待ちに待った日です。というのは、この日にお母さんと会えるからなんです。お母さんがやって来ました。お土産を持ってね。その袋には、なんと、ぼくの大好きなケーキが入っていました。それから、新しい上着も。その上着はぼくに丁度ぴったりです。ぼくは一年で背が伸びましたが、お母さんは、ちゃんと伸びた分を分かっていたんですね。とても幸せでした。
 
4.困ったこと
 
 
・不良の先輩・ホフニとピネハス:
礼拝のテントでの生活は、とても楽しいこと、ためになることが多くあったのですが、一つ困ったことがありました。それはエリ先生の二人の息子です。ホフニさんとピネハスさんと言います。祭司としてはぼくの大先輩だから、よーくみならわなくては、と思っていたのですが、段々おかしいな、と思うようになりました。夜、お酒を飲んで酔っ払って帰ってくることもありました(イラストC)。礼拝にやってくる女の人と仲良くなって、ちょっと気持ちが悪いと思うこともありました。でも、お母さんは、「あんまりよその人を見るんじゃありませんよ、ただ神さまとエリ先生に仕えなさい」と仰っていましたから、ぼくはいつもの仕事をするだけです。

・「甘い」父・エリ:
もう一つ不思議なことがありました。それはね、エリ先生はとてもいい先生なのに、どうして自分の子供のことはちゃんと躾けないんだろう、っていう疑問です。時々は「ホフニ、ピネハス、あなた達の評判はとても悪い。そんなことをすると、神さまの評判が悪くなるから止めなさい。」って叱っているのが聞こえてきました。ホフニさんもピネハスさんも、「へん!」っていうような顔をしてお父さんの言うことを聞きません。それにしても、そんな悪いことをしているんだったら「祭司をやめなさい!」って言えば良いのに、それはぼくには分からない事情があったのでしょうね。
 
5.神さまの声を聞く(12歳ころ)
 
 
・夜中の呼び声(イラストD):
ぼくは、もう12歳になりました。ぼくの仕事は神さまの礼拝所のランプをつけることでしたから、その晩もいつものようにランプをつけ、その近くで番をするために寝たのです。もう12時頃でしょうか。突然声が聞こえました。「サムエル、サムエル」ぼくはエリ先生がお呼びと思って、急いで上着を着て先生のお部屋に飛び込みました。「エリ先生、お呼びですか。」(イラストD)「いや、私は呼ばないよ。何かの間違いだろう、帰ってお休み。」「はい。」それでぼくはぼくの部屋に戻って寝ました。しばらくうとうとしていると、さっきのように「サムエル、サムエル」という声を聞きました。こんどこそエリ先生だ、と思ったぼくは、上着を着て先生のお部屋に飛び込みました。「エリ先生、お呼びですか。」「いや、私は呼ばないよ。聞き違いだろう、帰ってお休み。」「はい。」それでぼくは部屋に戻って寝ました。しばらくうとうとしていると、また「サムエル、サムエル」という声を聞きました。もっとはっきり聞いたのです。ぼくはまた、上着を着て先生のお部屋に飛び込みました。「エリ先生、お呼びですか。」

・主の前に座る:
今度こそはエリ先生も様子が変だということに気付いてこうおっしゃいました。「サムエル、それは神さまの声かもしれない。私のところに来るのではなく、そこに座りなおしてこう言いなさい、『主よ。お話しください。しもべは聞いております。』」「はい、分かりました。」ぼくは上着を脱がないで、自分の部屋でじっとしていました。そして、もう一度聞いたのです。「サムエル、サムエル」ぼくはエリ先生に言われたとおり、「主よ。お話しください。しもべは聞いております。」と言ったのです。<ここでクイズです。神さまは、ぼくの名前を合計何回呼んだことになるでしょう?正解者には、後でささやかな賞品を差し上げます。>

・厳しいメッセージ:
そうしたら、主はお話しを続けられました。「私は、エリとその家族を滅ぼす。何故なら、ホフニとピネハスが私の名前を辱めるような悪いことをたくさんしているからだ。そして父のエリは、それに対してきちんと罰を与えないからだ。私は、ホフニもピネハスも、そしてエリも滅ぼしてしまう。その代わりサムエル、あなたを預言者として立てる。」ぼくは恐ろしくなって、その夜はそのまま寝てしまいました。

・エリ先生に報告:
次の朝、いつものようにテントの入り口を開け、周りを掃除していたら、エリ先生が心配そうに近づいてきました。「サムエル、昨夜のメッセージは何でしたか。神の言葉ならば、隠さず言いなさい。」(イラストE)ぼくも黙っていられなくなって、昨晩神さまから頂いたメッセージを全部お話しました。黙ってじっと聞いておられたエリ先生は、はっきりとこうおっしゃいました。「これは主の裁きだから、そのまま受け取ろう。主の聖名を賛美します。」でも、その横顔は淋しそうでした。

 
6.預言者として全国に知られる
 
 
・それまで神の言葉が聞かれなかった→社会がめちゃくちゃ:
その頃からです。「サムエルさん、ご相談があります。〇〇XXのことはどうしたら良いのでしょう。」とか相談を受けるようになりました。それから、あちこちで、「神さまの話しをしてください。」とお話を頼まれるようになりました。いつの間にか、人々がイスラエルには預言者(神の言葉をお話しする人)が生まれた。みんなで神の声を聞こう。」と集まってくるようになったのです。そのわけは、遠い昔、モーセさんに神さまがお話くださってから長い間、人々は、神さまがお話くださるっていうことを知らないで生きていたのです。だから、みんな自分勝手に自分が正しいと思ったことをやりました。その結果、イスラエル社会はめちゃくちゃになっていたのです。人々は、神さまがお話しくださることを待っていたのです。

・神の言葉を話すサムエルの評判が全国に:
それからは毎日のように、あちこちで神さまのお話をするようになりました。自分勝手な生き方をしていたイスラエルが、神さまの道を求めるようになったのです。

・神の言葉を毎朝聞き続けたから:
ぼくはあの日からずっと、毎朝、エリ先生から教わったとおり、「主よ。お話しください。しもべは聞いております。」と神さまにお祈りをする時間をたくさんもって一日を始めるようになりました。どんなことでも、神さまのみこころを聞いて決めることにしました。もちろんあの日のように、耳で聞こえるような声で毎日神さまがお話してくださるわけではありません。でも、「主よ。お話しください。しもべは聞いております。」と静まる時、主はみこころを教えてくださるのです。だから、多くの人々がぼくの話しを聞きにやってくるのだと思います。

これでお話は終わりです。ぼくのお話が、皆さんにも役に立ちましたか?
 
お祈りを致します。