礼拝メッセージ
(インマヌエル中目黒キリスト教会)

 
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書第三版(著作権・新日本聖書刊行会)によります。
 
2015年4月19日
 
「世々限りなく、星のように輝く」
召天者記念礼拝に臨み
 
竿代 照夫 牧師
 
ダニエル書 12章1-4節
 
 
[中心聖句]
 
  3   思慮深い人々は大空の輝きのように輝き、多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。
(ダニエル書 12章3節)


 
聖書テキスト
 
 
1 その時、あなたの国の人々を守る大いなる君、ミカエルが立ち上がる。国が始まって以来、その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。しかし、その時、あなたの民で、あの書にしるされている者はすべて救われる。12:2 地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者が目をさます。ある者は永遠のいのちに、ある者はそしりと永遠の忌みに。 12:3 思慮深い人々は大空の輝きのように輝き、多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。12:4 ダニエルよ。あなたは終わりの時まで、このことばを秘めておき、この書を封じておけ。多くの者は知識を増そうと探り回ろう。」
 
はじめに
 
 
今日の召天者記念礼拝に、ようこそお出で下さいました。今年は特に、私たち中目黒教会、そしてその始まりである丸の内教会からのメンバーの内の天に帰られる方が多く、1月から4月まで毎月お葬式という形で過ごしました。とても寂しい思いが致しましたが同時に、天国は賑やかになったのではと考えるこのころです。今日の表題聖句は、ダニエル書から取られています。「多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。」実に素晴しいみ言葉ですね。私は、良く、告別式などに伺えない時の弔電の中で引用します。今日は、このみ言葉の背景も含めて味わいたいと思います。
 
1.ダニエル書:歴史における神の支配
 
 
ダニエルは、BC6世紀、イスラエルが捕囚された時代に生きた預言者です。捕囚の仕掛け人であるバビロン帝国とそれに続くメディア・ペルシャ帝国で高級官僚として活躍しただけでなく、その後の歴史を予言した預言者でもありました。その予言の詳しい説明に立ち入りませんが、大づかみで言いますと、歴史の中で、神と神の民に逆らう人々が勢力を広げ、猛威を振るうのに対して、神が力をもって勝利し給うということを語っています。
 
2.12章1〜3の背景(11〜12章)
 
 
司会者によって読まれたのは12:1−3でしたが、これは11:1〜12:4までを一区切りとする予言の一環です。

・大国の政争に巻き込まれる小国イスラエル(11章〜12:4):
その予言とは、紀元前6世紀から3世紀に至る地中海世界の大きな歴史の流れを俯瞰しています。その時代、ペルシャ、ギリシャ、シリヤ、エジプトにおいて大きな政治抗争が繰り広げられます。その政争の嵐に巻き込まれる神の民イスラエルが土壇場まで追い詰められるが、神の干渉によって救われることが予言されます。大きなスケールのドラマです。

・苦難と救い(12:1):
「その時、あなたの国の人々を守る大いなる君、ミカエルが立ち上がる。国が始まって以来、その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。しかし、その時、あなたの民で、あの書にしるされている者はすべて救われる。」と記されています。イスラエルが苦難の極限に達すること、そこに神の使いミカエルがイスラエルの守護天使として立ち上がること、そして、神の民が救われることが予言されます。

・復活の望み(12:2):
「地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者が目をさます。ある者は永遠のいのちに、ある者はそしりと永遠の忌みに。」この言葉は、その戦いで命を落とした者たちが甦り、あるものは永遠の命に、他のものは永遠の忌みに振り分けられることの予言です。旧約聖書で復活についての言及は多くないのですが、このダニエルの予言は、復活がありうること、しかもそれが信仰者にとって大切な真理であることを示します。さて、私たちは二週間前にキリストの復活を記念するイースターを祝いました。実にキリストこそ「死を滅ぼし、いのちと不滅を明らかにされた」(2テモテ1:10)方です。というのは、キリストこそ私たちの復活の初穂(復活の先頭を切ったキリストの後に続いて私たちが復活する保証)として、甦られたからです。

・復活者の輝き(12:3):
「思慮深い人々は大空の輝きのように輝き、多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。」そして、この節は、悪の勢力との戦いで命を落とした者たちが輝く存在となることを予言します。この節について、もう少し詳しく考えましょう。
 
3.思慮深い人々
 
 
ここに「思慮深い人々」「多くのものを義とした者」と二通りの表現がありますが、これは一種類の人々の異なる表現と見ることができます。その人とはどんな人でしょうか。11章に遡って見ることにしましょう。

・神を知る人(11:32):
思慮深い人々とは、実際的な生活上の知恵者という意味ではなく、物事を深く考え、神の知恵を求め、それを実行する人々のことです。11:32「彼(イスラエルを荒らすもの)は契約を犯す者たちを巧言をもって堕落させるが、自分の神を知る人たちは、堅く立って事を行なう。」とありますように、悪の勢力が正しい人々を堕落させるけれども、「自分の神を知る」、真の神を単に知識として知っているだけでなく、神を畏れ、神の語られることを行動原則とすることによって、「堅く立つ」のです。第二次大戦の折、多くの人々がその時の空気に呑まれ、道を見失ってしまったとき、真の神を畏れる人々は「堅く立つ」ことができました。その故に迫害も受けましたが・・・。

・神知識によって人々を導く(11:33a、35):
神を知る人々は、その人格を通して他の人々の人格を練りきよめる働きをします。「民の中の思慮深い人たちは、多くの人を悟らせる。」(11:33)のです。更にその感化を通して「彼らを練り、清め、白くする」(11:35)のです。これは12:3の「義に導く」という言葉の別表現とも言えます。

・そのために迫害を受け、倒される(11:33b〜34):
思慮深い人は、その存在と働きが悪の勢力の目の敵にされ、悪の勢力によって厳しい迫害を受けて倒されることも予告されています。「彼らは、長い間、剣にかかり、火に焼かれ、とりことなり、かすめ奪われて倒れる。彼らが倒れるとき、彼らへの助けは少ない」((11:33b〜34)と記されています。残念ながら、これは古今東西の真理です。
 
4.限りない報償(12:3)
 
 
さて、今日の主題聖句の「約束」の部分を考えましょう。

・戦いの報償として:
「思慮深い人々は大空の輝きのように輝き、多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。」というのは、今学んだように、正しいことを行い、悪と戦い、そのために命を落とした人に、報償が与えられるという約束です。死んだ後は星になるよ、という願望に似た、いわばメルヘンチックなお話しではなく、現実の厳しい戦いを、固い信念をもって戦い抜いた人々に与えられる神からの報償のことを語っているのです。

・「大空のように輝く」:
「大空のように輝く」とは、大きな宇宙の中で燦然と輝く光を指しています。私たちの働きは目に見えない、小さなものであるかも知れません。しかし、神はそれらを見、全宇宙に知らしめなさるのです。大きな慰めではないでしょうか。一昨日、渡辺和子さんのお葬式をしました。多くの方々が、如何に和子さんに愛されていたかを交々語りました。私も、十字架を前にしたイエスに香油を注ぎだしたマリヤの例を用いて説教しました。この女のしたことは全世界に宣べ伝えられると。小さな、目立たない奉仕をした渡辺さんが今「大空のように輝いている」ことを確信しています。

・「世々限りなく輝く」:
現代の宇宙科学者たちは、星には寿命があると言います。何十億光年前に生まれ、更に何十億光年前経つと消えていく存在だそうです。しかし、ダニエルの目から見れば永遠です。「世々限りなく、星のようになる」とは、何と素晴らしい希望でしょうか。私たちは映画やテレビの世界のスターにはならないかも知れませんが、神を知り、その知恵に従う真実な生き方をし、迫害を恐れない大胆な証をすることによって「スター」となれるのです。
 
おわりに:あなたも、「スター」に
 
 
今日御集りの皆さんは、そのようなスターを思い出すためにいらっしゃったわけです。勿論、人間の記憶はどんどん薄れますから、「〇〇さん、Who?」と言われる時代が来るかも知れません。また、それで良いのです。でも神の世界においては、あなたが記念する〇〇さんは、永遠に輝いています。そして、あなたも、そのスターにいつかはなれるのです。嬉しいことですね。
 
お祈りを致します。