礼拝メッセージ
(インマヌエル中目黒キリスト教会)

 
聖書の言葉は旧新約聖書・新改訳聖書第三版(著作権・新日本聖書刊行会)によります。
 
2015年5月17日
 
「真理を示す御霊」
ペンテコステに向かう(2)
 
竿代 照夫 牧師
 
ヨハネの福音書 14章22-26節、15章26-27節、16章13-15節
 
 
[中心聖句]
 
  26   助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、また、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます。
(ヨハネの福音書 14章26節)


 
聖書テキスト
 
 
14:22 イスカリオテでないユダがイエスに言った。「主よ。あなたは、私たちにはご自分を現わそうとしながら、世には現わそうとなさらないのは、どういうわけですか。」23 イエスは彼に答えられた。「だれでもわたしを愛する人は、わたしのことばを守ります。そうすれば、わたしの父はその人を愛し、わたしたちはその人のところに来て、その人とともに住みます。24 わたしを愛さない人は、わたしのことばを守りません。あなたがたが聞いていることばは、わたしのものではなく、わたしを遣わした父のことばなのです。25 このことをわたしは、あなたがたといっしょにいる間に、あなたがたに話しました。26 しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、また、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます。
15:26 わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします。27 あなたがたもあかしするのです。初めからわたしといっしょにいたからです。
16:13 しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入れます。御霊は自分から語るのではなく、聞くままを話し、また、やがて起ころうとしていることをあなたがたに示すからです。14 御霊はわたしの栄光を現わします。わたしのものを受けて、あなたがたに知らせるからです。15 父が持っておられるものはみな、わたしのものです。ですからわたしは、御霊がわたしのものを受けて、あなたがたに知らせると言ったのです。
 
はじめに:主イエスの告別説教(ヨハネ14〜16章)における聖霊の約束
 
 
ペンテコステを来週に控えて、先々週は十字架を前にした主イエスの告別説教(ヨハネ14−16章)の中から聖霊降臨の予告を学びました。

・前回の焦点は「助け主(パラクレートス)」:
特にその時は「助け主」(傍に立って助け、慰め、弁護士、励ましてくださるお方)としての聖霊に私たちの焦点を当てました。

・今日の焦点は「真理の御霊(真理を示すお方)」:
今日はその続きですが、私たちを「真理の御霊」(真理に導く御霊)についてイエスの語られた言葉を拾って考えたいと思います。今読んだ箇所に「真理の御霊」という言葉が何回か繰り返されていました。真理の御霊とは、真理について教えてくださる御霊のことです。何を教えてくださるのでしょうか。今読みました箇所から、その一つ一つに意味を確かめたいと思います。
 
「真理の御霊」は・・・
 
1.すべての真理を教える
 
 
「助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え・・・」(14:26)
 
・主イエスの生涯、教え、死と復活に意味についての完全な理解:
すべてのことを教えて下さると記されていますが、その「すべての事」の中に何が含まれているでしょうか。私たちが習ったことのない数学の方程式なども含まれるのでしょうか。もしそうなれば、受験勉強の必要はなくなります。勿論、イエス様は、私たちが受験勉強の必要がなくなるほど賢くなると保証してはおられません。「すべての事」とは、この文脈で言えば、イエス様が今お話しされたご自分に関わる真理のことです(14:25)。主イエスの生涯、教え、死と復活に意味についての完全な理解のことです。

・主イエスご自身が「道、真理、いのち」:
主イエスご自身が「道、真理、いのち」であること(14:6)の頷き、もっと言いますならば、イエス様ご自身が「道であり、真理であり、いのち」ということ(14:6)を理解させてくださるのです。イエス様は、道を教える方、真理について語る方、いのちについて道を示す方ではなく、道そのもの(み父と人とを結ぶ架け橋)となって下さり、真理そのものが体現した方、いのちを所有しそれを分け与えるお方なのです。そのイエスに関するすべてのことが、聖霊によって示されます。理解困難に思えるこの真理が、弟子たちには心からの納得として捉えられるのです。
 
2.イエスの言葉を想起させる
 
 
「・・・わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます。」(14:26)
 
・告別説教も含め、イエスの全ての教えを想起させる:
私は、聖書を読みながら不思議に思うことがあります。それは、ヨハネの記憶力の良さです。十字架の前夜のイエス様の説教を良くこんなに覚えていて記録出来たものよ、と感心します。一生懸命メモしても、ここまでは書けないのが私たちの記憶力の限界です。意地悪い人は、そうではなく、ヨハネの創作なんだろうと決めつけます。私の結論は、「主の話されたすべてのことを思い起こさせる」御霊の働きの故、というものです。イエスの話を思い起こさせる特別な聖霊のお働きがあり、そのお働きの故に、彼には特別な記憶力が与えられ、この説教を詳しく記録することができた訳です。

・記録することを助ける→新約聖書の土台:
この説教だけではなく、主イエスの語られた山上の説教でも、四つの種の譬えでも、彼らには聖霊の助けが特別な記憶力に加えられたと信じることができます。新約聖書はすべて、聖霊の奇跡的な記憶力によって可能となりました。
 
3.イエスについて証言する
 
 
「わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします。」(15:26)
 
・「証言」とは法廷用語で、対象についての真実を証言すること:
「証言する」とは法廷用語です。法廷で、証人は対象となる出来事、対象となる人について、見聞きした真実を証言します。

・聖霊は、キリストが神であることを証言される:
そのように、聖霊は、キリストの神たることを明らかに証言して下さいます。その神としての栄光、その恵(身代わりとなって死んだこと、罪の解決を完了したこと)を頷かせてくださいます。頭だけではどうしても理解できないことを聖霊は心の納得へと導いてくださいます。

・弟子たちも証人となる:
そして、弟子たちもまた、キリストの証人となるのです。「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」(使徒1:8)
 
4.私たちを「真理に導き入れる」
 
 
「その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入れます。」(16:13)
 
・「すべての真理」とは、キリストに関する特定的な真理:
この声明は、今までのものを繰り返しているようですが、より強調的です。私たちは真理を「教えられる」だけですと頭だけの信仰に終わる危険性があります。私たち自身が真理の中に導き入れられるのです。当然、ここでいう真理とは主イエスに関わる真理のことです。この場合、「真理」(アレセイア)という名詞の前に定冠詞(テー)が付いている事に注目する必要があります。一般的な真理(Truth)ではなくて特定的な真理(The Truth)なのです。今までの説明でお分かりのように、これは主イエスに関する真理、人の救いに関する真理、福音の真理、恵に関わる真理のことです。

・「導き入れる」とは、明確な転機を通して:
聖霊は、何かを教えるというよりも、「導き入れる」お方です。キリストの真理に弟子たちが導き入れられたのは、ペンテコステの時に聖霊に満たされた時でした。
 
5.やがて起ころうとすることを示す
 
 
「御霊は自分から語るのではなく、聞くままを話し、また、やがて起ころうとしていることをあなたがたに示すからです。」(16:13)
 
・将来の予言をも示す:
聖霊は将来のことも予言して下さいます。

・ヨハネの見た幻(黙示録1:10、19):
「御霊によって」ヨハネは黙示録を記しました。「私(ヨハネ)は、主の日に御霊に感じ、私のうしろにラッパの音のような大きな声を聞いた。・・・『あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。』」(黙示録1:10、19)使徒達がキリストの再臨を含めて将来を語ったのは「御霊によった」のです。
 
6.イエスの栄光を顕わす
 
 
「御霊はわたしの栄光を現わします。わたしのものを受けて、あなたがたに知らせるからです。」(16:14)
 
・聖霊は常に主イエスを表に出す働きをなさる:
聖霊は、ご自分を拡大される方ではなく、常に主イエスを拡大されます。私たちは、自分たちが信じているものを「聖霊教」とは呼ばず、「キリスト教」と呼びます。どうしてでしょうか。実際は聖霊様が働いておられるのですが、聖霊は、キリストをいつでも前面に出しなさいます。人間的な言い方をすると、謙遜なお方なのです。

・「イエスを主」と言わしめる聖霊:
「聖霊によるのでなければ、だれも、『イエスは主です。』と言うことはできません。」(1コリント12:3)とパウロも言っています。さらにパウロは、「もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、キリストのものではありません。」(ローマ8:9)とも言っています。キリストをリアライズ(現実化)させるお方は聖霊です。

・キリストを拡大するのも聖霊の働き:
そして聖霊はキリストを拡大してくださいます。私たちの祈りと願いは、パウロのように、「生きるにしても、死ぬにしても、私の身によって、キリストのすばらしさが現わされること」(ピリピ1:20)ではないでしょうか。それを可能にするのは、聖霊の満たしです。
 
おわりに:聖霊の満たしを切に求めよう
 
 
私たちは、来週、ペンテコステを迎えます。弟子たちは、こんな素晴らしい聖霊のお働きについて聞き、それが自分の身に起きるように切に祈り続けました。そして、御霊の満たしを頂きました。私たちも、心の全てを明け渡して、御霊の満たしを切に祈り求めましょう。
 
お祈りを致します。